熟練介護士の悩み「普段と違う態度や行動に出たときにはどうすればいい」5編

問題行動

介護職をしている男性30歳のミツヒコです。
実務者研修を取得したので、もうすぐ介護福祉士を取得したいと思っております。

 

介護の施設で働いて5年になるのですが、利用者の問題行動でどう対処したらいいのか悩まされています。

 

正社員で働いているのですが、施設の方針や人間関係に嫌気がさし、辞めて転職を考えています。
時間や休日も自由にできる派遣社員を考えているのですが、よい派遣会社はないですか?

「なぜこんなことをするのかしら」
「どうしてこんなことを言うんだろう」

施設で介護しているとスタッフからよく聞く言葉ですね。

昼夜を問わず、あてもなくうろうろと歩きまわったり、現実的でない内容に判断してしまったり、暴言や暴力など突発的な行動によって、スタッフの負担が高まります。

なぜこんなことをするのかという正しい理解があれば、納得がいき、疲れやいらだちを和らげることができるかもしれません。

今回は、困った行動にどのように向き合えば良いのかを解説していきます。
利用者さんとの良い関係性を維持するためのヒントにしてください。

電気を消し忘れる

今までは身の回りのことは一人で出来ていた利用者さんなのですが、最近トイレを使った後で電気を消し忘れて部屋を出られたりします。

私が電気を消さなかったの?
覚えがないなあ!

理由
認知症による記憶障害が原因と考えられます。

叱っても責めても効果はない

本人は消し忘れたことさえ覚えていないのですから、強く叱ったり責めたりしても効果がありません。

 

電気を消し忘れているのを気付いた人が黙って消しておきましょう。

何もかも禁止すると認知症を悪化させることになります。
認知症が原因で、電気や水道を消し忘れることはよくあります。本人は覚えていないのですから、叱らないでくださいね。
あれもダメ、これもダメとすべて禁止すると、部屋に閉じこもって、かえって認知症を悪化させることになります。
危険防止には配慮して、できるだけあたたかく見守りましょう。

詳しい解説 電気を消し忘れる

電気を消し忘れるというシナリオ

これまで自分で自分のことは自分でできていた人が、部屋に入って電気をつけ、うっかり電気をつけっぱなしにして部屋から出た場合を想像してみてください。

この状況はよくあることであり、「電気を消していないのではないか?」というような疑問が生じることがよくあります。ただし、この状況が異なるのは、その人が電気を消したかどうかを覚えていないことです。

人の記憶と潜在的な原因への影響

ライトが消えたかどうか思い出せないのは記憶障害の兆候であり、さまざまな原因が考えられます。

多くの場合、この記憶喪失は認知症の初期段階を示している可能性があります。認知症は、記憶、推論、問題解決などの人の認知能力に影響を与える進行性の神経疾患です。

認知症が進行すると、電気を消したりドアに鍵をかけたりすることを忘れないなど、日常生活での動作が困難になる場合があります。

認知症による記憶障害は選択によるものではなく、根底にある脳の変化の結果であることを理解することが不可欠です。

叱ったり責めたりすることの無効性

誰かが電気を消し忘れたというシナリオに直面した場合、その人を叱ったり責めたりしても意味のある効果はないと認識することが重要です。

認知症の人は、忘れていた行動さえ覚えていないことが多いからです。電気をつけっぱなしにして認知症の人を叱ることを想像してみてください。

彼らは本当にその状況を覚えていないため、反応は混乱または苦痛である可能性があります。

叱ることは、行動を正すよう促すのではなく、認知症の人とその介護者の両方に不必要なフラストレーションや緊張をもたらす可能性があります。

次のセクションでは、認知症における記憶障害、共感的な対応の重要性、認知症患者の幸福を促進しながらこの困難な状況を乗り越えるための実践的な戦略について詳しく掘り下げていきます。

記憶障害と認知症

認知症における記憶障害の説明

認知症における記憶障害は、この状態の顕著な特徴です。これには、個人の記憶から情報を取得、保存、検索する能力が徐々に低下することが含まれます。さらに詳しい説明は次のとおりです。

短期記憶喪失: 認知症の人は、短期記憶に重大な困難を経験することがよくあります。最近の出来事、会話、仕事などを忘れてしまうことがあります。たとえば、朝食に何を食べたか、ほんの数時間前に薬を飲んだかどうかを忘れてしまう可能性があります。

長期記憶への影響: 短期記憶は顕著な影響を受けますが、長期記憶も徐々に薄れていく可能性があります。人生の重要な出来事、家族の名前、さらには自分自身の歴史を思い出すのに苦労する人もいるかもしれません。

見当識障害: 認知症は、時間と空間の見当識障害を引き起こす可能性があります。人によっては、今が何日、何月、何年なのかわからないかもしれません。また、慣れ親しんだ環境であっても、自分の現在地が分からなくなることもあります。

順序付けの難しさ: 一連のステップを必要とするタスクを完了するのは困難な場合があります。たとえば、正しい順序で服を着たり、お茶を入れたり、レシピに従うことが難しい場合があります。

日常生活活動における記憶障害による課題

認知症における記憶障害の影響は、日常生活のさまざまな活動にまで及び、影響を受ける人にとってはますます困難になっています。例としては次のようなものがあります。

薬物管理: 処方された薬を適切なタイミングで飲み忘れたり、誤って倍量服用したりすることは、認知症患者にとって危険となる可能性があります。

パーソナルケア: 入浴、歯磨き、着替えなどの個人衛生習慣を維持するのが難しい場合があります。これらの作業を最後に実行したのがいつだったかを忘れてしまう場合があります。

家事: 料理、掃除、洗濯などの家事を完了することは、自分が何をしていたかを忘れたり、電化製品の電源を入れたままにしたり、潜在的な安全上の問題を引き起こす可能性があるため、困難になる可能性があります。

安全上の懸念: ドアのロックを解除したままにしたり、蛇口を動かしたり、最初のシナリオで述べたように照明を消し忘れたりすると、家庭環境に安全上のリスクが生じる可能性があります。

社会的交流: 認知症は、よく知っている顔を認識する能力に影響を及ぼし、知っているはずの人々を思い出せないことに不安を感じ、社会的引きこもりや孤立につながる可能性があります。

記憶障害の深さとそれが日常生活活動にもたらす課題を理解することは、認知症の人に適切なサポートとケアを提供する上で非常に重要です。

このことは、記憶に関連した喪失に対する思いやりと忍耐強い対応の必要性を強調しています。

共感的な対応

なぜ叱ったり責めたりすることが効果的ではないのか

認知症の人を叱ったり、記憶力の低下を責めたりすることは、いくつかの理由から効果がなく、有害である可能性があります。

記憶障害は選択ではありません: 認知症における記憶障害は、本人の意図的な行為や選択ではないことを覚えておくことが重要です。

彼らの認知機能の低下は脳の神経学的変化の結果であり、これらの変化を制御することはほとんどできません。

イライラと動揺:叱責や非難に直面すると、認知症の人はイライラしたり動揺したりすることがあります。なぜ自分が叱責されているのか理解できず、苦痛がさらに悪化する可能性があります。

ストレスの増加: 認知症は、罹患者とその介護者の両方にとって、すでにストレスの原因となっている可能性があります。

叱ったり責めたりすることはこのストレスを増大させるだけであり、介護関係に否定的で緊張した雰囲気を生み出します。

非効果的なコミュニケーション: 認知症の人は、記憶障害があるため、叱られたときに提供された情報を処理したり保持したりするのが難しい場合があります。

その結果、意図した修正メッセージが失われることがよくあります。

攻撃的な行動の可能性: 認知症患者の中には、叱責や非難に攻撃的な行動で反応する場合があり、これにより状況がエスカレートし、安全が危険にさらされる可能性があります。

たとえば、認知症の人が電気をつけっぱなしにして介護者が叱り、不注意を責めると、その人は防御的に反応して動揺したり、言葉で攻撃的になったりすることがあります。

これでは問題を解決できないだけでなく、不必要な感情的混乱を引き起こします。

思いやりのあるアプローチの重要性

認知症患者と接する際には、思いやりと共感が不可欠です。思いやりのあるアプローチが重要である理由は次のとおりです。

尊厳の維持: 思いやりは、認知症患者の人格と尊厳を認識します。それは、彼らが依然として尊敬と優しさに値する貴重な社会の一員であることを認めます。

苦痛の軽減: 思いやりのあるアプローチは、認知症患者の苦痛や不安を最小限に抑えることを目的としています。それは彼らが安全で理解されていると感じるのに役立ち、全体的な幸福を向上させることができます。

効果的なコミュニケーション: 思いやりは効果的なコミュニケーションを促進します。穏やかに話し、優しいタッチなどの非言語的合図を使用し、理解を示すことで、介護者はメッセージをより明確に伝えることができます。

信頼の構築: 思いやりのあるアプローチにより、認知症患者とその介護者の間に信頼が構築されます。信頼は、良好な関係を維持しながら必要なケアとサポートを提供するために不可欠です。

たとえば、電気が点いたままになっている場合、思いやりのある対応としては、静かに、対立せずに電気を消すことが含まれます。

この行動は、不必要な苦痛を与えずに支援を提供するという理解と意欲を示しています。

要約すると、共感と思いやりが認知症患者との交流の指針となるはずです。

これらの特質はケアの質を向上させるだけでなく、関係者全員にとってより育成的で敬意を持った環境を作り出します。

実際的な解決策

対立せずに電気を消すことに責任を持つ

認知症を患い、電気を消し忘れる可能性のある人に対処する場合、対立することなくこの問題に対処する責任を負うことが重要です。その方法は次のとおりです。

例:認知症のあなたの愛する人が部屋の電気をつけたままにしていることに気づいたとします。叱ったり責めたりするのではなく、静かに部屋に入り、電気を消してください。

このアクションにより、苦痛を引き起こすことなく問題が解決されます。彼らが部屋にいないときでも、恥ずかしさや防御的な感情を避けるために、これを慎重に行うこともできます。

対立せずにこの責任を引き受けることで、認知症の人に対して平和で協力的な雰囲気を維持し、最終的には不安やストレスを軽減することができます。

過剰な禁止事項を避ける必要性

認知症患者の安全を確保することは不可欠ですが、過度の禁止は悪影響をもたらす可能性があります。バランスをとることが重要な理由は次のとおりです。

例:認知症の人が趣味として料理を楽しんでいると想像してください。症状が進行すると、キッチンでの信頼性が低下し、安全上の懸念が生じる可能性があります。

彼らの調理活動を監視することは重要ですが、キッチンへの立ち入りを完全に禁止すると、フラストレーションや喪失感、さらには社会的引きこもりにつながる可能性があります。

代わりに、調理を監督し、安全対策を講じ、徐々に簡単な調理作業に参加させるという妥協案を検討してください。このアプローチにより、安全を確保しながらある程度の独立性と尊厳を維持することができます。

 認知症における物忘れの共通点

認知症における物忘れの共通の特徴を理解することは、介護者がこれらの状況をより適切に予測し、管理するのに役立ちます。認知症における物忘れの典型的な側面は次のとおりです。

反復的な質問:認知症の人は、たとえ直前に答えを受け取ったとしても、同じ質問を繰り返し行うことがあります。たとえば、「今日は何日ですか?」と尋ねるかもしれません。15分に一回とか。

物忘れ: 物忘れでは、鍵、財布、メガネなどの日常品を置き忘れることがよくあります。これらのアイテムは、冷蔵庫の中の車のキーなど、珍しい場所で見つけることができます。

身近な人を認識するのが難しい:認知症は、親しい家族や友人を認識する際に混乱を引き起こす可能性があります。名前や顔を思い出すのが難しくなり、社会的交流の際に苦痛を引き起こす可能性があります。

時間と場所の混乱:認知症の人は、時間を忘れたり、約束を忘れたり、現在地が分からなくなったりすることがあります。彼らは今が朝なのか夕方なのか覚えていないかもしれません。

タスクの完了の失敗:前述したように、食事の準備や請求書の支払いなどのタスクを開始したものの、完了するのを忘れたり、関連する手順を見失ったりすることがあります。

認知症における物忘れのこれらの共通の特徴を理解することで、介護者は共感を持って課題に取り組み、それに応じてサポートを調整することができます。

個人の尊厳と自主性を可能な限り維持しながら、個人の変化するニーズに適応することが不可欠です。

健康の促進

認知症の人を孤立させるリスク

認知症の人を隔離すると、その人の全体的な幸福に悪影響を及ぼす可能性があります。隔離に関連するリスクのいくつかを次に示します。

精神的および感情的な低下:社会的孤立は、認知症患者の孤独、うつ病、不安につながる可能性があります。社会的交流が不足すると、認知機能の低下が加速し、精神的健康が悪化する可能性があります。

認知刺激の喪失:他者との交流は、精神の鋭敏さを維持するために不可欠な認知刺激を提供します。孤立すると、認知症の人は精神的に関わる機会が奪われ、さらなる記憶喪失や認知障害につながる可能性があります。

生活の質の低下:孤立すると、生活の質が低下する可能性があります。それは個人の楽しみ、有意義な活動、帰属意識の機会を制限します。

行動上の課題:孤立した認知症の人は、孤独やフラストレーションへの反応として、興奮、攻撃性、引きこもりなどの困難な行動を示すことがあります。

例: 以前は友人や家族との交流を楽しんでいた、認知症を患っている高齢者について考えてみましょう。しかし、彼らの状態のため、家族は彼らの行動をますます懸念するようになり、社会的交流を制限し始めます。

その結果、人は孤独になり、興奮し、物忘れが多くなります。

潜在的な危険から子どもたちを守るという当初の目標は、うっかりして子どもたちの精神的および感情的な健康状態の低下につながります。

温かく協力的な環境を提供しながら危険を防ぐことの重要性

認知症の人を介護する場合、安全を確保する必要性と、温かく協力的な環境を提供したいという要望のバランスを取ることが不可欠です。これが重要な理由は次のとおりです。

安全性への懸念:認知症の人は、記憶力や認知機能に問題があるため、事故や怪我をしやすくなります。転倒やキッチンでの事故などの潜在的な危険を防ぐことは、彼らの健康にとって最も重要です。

尊厳と自律性の維持:安全は非常に重要ですが、個人の尊厳と自律性を維持することも同様に重要です。過度に制限的な措置は、無力感やイライラ感につながる可能性があります。

例:近所を短い散歩を楽しむ認知症の人を想像してください。彼らが迷子になるのではないかという懸念から、家族は最初は彼らを家の中に閉じ込めるかもしれません。

しかし、これは落ち着きのなさ、不安、精神的健康の低下につながる可能性があります。

代わりに、家族は、潜在的なリスクを最小限に抑えながら、本人が屋外活動を楽しみ続けることができるように、監視付きの散歩やGPS追跡装置の使用など、より安全な代替手段を検討することができます。

認知症患者の幸福を促進するには、安全と、温かく協力的で包括的な環境を維持することとの間のバランスを見つけることが必要です。

このアプローチは、子どもたちの生活の質を高め、感情的および認知的健康をサポートし、尊厳と帰属意識を育みます。

結論

重要なポイント

認知症関連の記憶喪失を理解し、効果的に対処するには、思いやりと情報に基づいたアプローチが必要です。覚えておくべき重要なポイントは次のとおりです。

認知症における記憶障害: 認知症は進行性の記憶障害を引き起こし、短期記憶と長期記憶の両方に影響を与えます。この状態は選択によるものではなく、脳の神経学的変化の結果です。

叱ったり責めたりすることの非効果性: 認知症の人を叱ったり、記憶力の低下を責めたりすることは逆効果です。記憶力が向上することなく、フラストレーション、ストレス、攻撃性を引き起こす可能性があります。

思いやりのあるアプローチ: 共感と同情心を持って対応することが不可欠です。それは尊厳を保ち、苦痛を軽減し、効果的なコミュニケーションを促進し、介護者と認知症患者との間に信頼を築きます。

実践的な解決策: 衝突せずに電気をつけっぱなしにするなどの問題に責任を持って対処することで、平和な環境を維持できます。安全と自律性のバランスをとり、認知症における物忘れの共通の特徴を理解することも重要です。

幸福の促進: 認知症の人を孤立させると精神的および感情的な低下につながる可能性があり、社会的交流の重要性が強調されます。安全と温かく協力的な環境のバランスを取ることが、彼らの生活の質を向上させる鍵となります。

認知症関連の物忘れに対処する際の共感と理解を促す

認知症関連の記憶喪失に直面している人と交流する際には、共感と理解を促すことが重要です。彼らの立場に立って、記憶障害は彼らがコントロールできないことを認識することで、私たちは彼らが必要とするサポート、ケア、そして付き合いを提供することができます。

彼らの限界に焦点を当てるのではなく、私たちは彼らの残された能力を大切にし、有意義なつながりを育み、彼らが尊厳を持って可能な限り自立して生活できる環境を作り出す必要があります。

認知症の記憶喪失に対する私たちのアプローチは、影響を受ける人々の幸福と快適さを優先し、この困難な症状を乗り越える過程を通じて彼らが大切にされ、尊重されていると感じられるようにする必要があります。

まとめ

突発的な行動にでる利用者さんを対処する方法をお伝えしてきました。
いかがだったでしょうか?

利用者さんの満たされない思いや不安、恐怖など、行動の奥にある思いに気付き、心を癒やすような関わり方をすれば、穏やかに過ごしていただくことができます。

利用者さんの心の内を早く気付くことができたら、熟練介護士として素晴らしさことだと思います。まず、笑顔で接することを心がけてください。

不安や混乱のさなかにある利用者さんにとって、厳しい言葉や態度を向けられることは、恐怖以外の何ものでもありません。
追い詰められて、困った行動がエスカレートしてしまうことも考えられます。

反対に、にっこりと笑って穏やかに話しかけると、笑顔を返してくれることが多いです。
こちらの気分や雰囲気は伝わりますから、ゆったり構えて、そっと様子を見守るのもひとつの方法です。
向き合う姿勢を変えることで、機嫌が良くなる場合もあります。

利用者さんをお世話するスタッフには本当に大変だと思いますが、なるべくおおらかな気持ちで、安心感を与える言葉や笑顔を心がけてみてください。

熟練介護士だからこそ、いろんな介護経験を積んでいかなくてはなりません。
1つの施設でずっと何年も仕事をしているとモチベーションが下がりますし、成長もできません。

いろいろ経験を積むために、派遣社員で働くのはいかがですか?
「かいご畑」では介護派遣の求人や応援制度を紹介している記事があるので、興味がある方はこちらをご覧ください。


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