熟練介護士の悩み「認知症による問題行動に出たときにはどうすればいい」13編

問題行動

 

介護職をしている女性30歳のミツコです。
実務者研修を取得したので、もうすぐ介護福祉士を取得したいと思っております。

 

介護の施設で働いて5年になるのですが、利用者の問題行動でどう対処したらいいのか悩まされています。

 

正社員で働いているのですが、施設の方針や人間関係に嫌気がさし、辞めて転職を考えています。
時間や休日も自由にできる派遣社員を考えているのですが、よい派遣会社はないですか?

 

「なぜこんなことをするのかしら」
「どうしてこんなことを言うんだろう」

施設で介護しているとスタッフからよく聞く言葉ですね。
昼夜を問わず、あてもなくうろうろと歩きまわったり、現実的でない内容に判断してしまったり、暴言や暴力など認知症の問題行動によって、スタッフの負担が高まります。

なぜこんなことをするのかという正しい理解があれば、納得がいき、疲れやいらだちを和らげることができるかもしれません。

今回は、困った行動にどのように向き合えば良いのかを解説していきます。
利用者さんとの良い関係性を維持するためのヒントにしてください。

他人の物を盗む

認知症ですが体の元気でデイサービスを利用しているAさん。最近、近所の家の庭から花を摘んだり、家の中まで入って食べ物をとり、困っています。つい、問い詰めて叱ったのですが・・・

「よその家から盗んだ」ってどういうこと?人の物をとった覚えはないよ!

理由
認知症により、他人の物と自分の物との区別がつかなくなっているのであって、盗んだという自覚はありません。

問い詰めず、時間をおいてから返す

自分が悪いことをしたという自覚はなくても、叱られたことは感情として分かり、興奮することもあります。

 

問い詰めることはせず、本人が関心がなくなったころに、家族が持ち主に誤りに行き、返すようにしてください。

普段から本人の状態を話し合える近所関係をつくろう
認知症が進み、徘徊(はいかい)や、よその家での盗みが始まると、家族だけでは対処できないこともでてきます。

いざというとき、お互いに気まずい思いをしないように、ふだんから近所の人と、本人の状態を話し合える関係をつくっておきましょう。そしてことが起きたら、必ず家族が謝りに行き、品物を返しましょう。

詳しい解説 他人の物を盗む

~認知症関連の行動への対処方法~

認知症の愛する人の介護には、数え切れないほどの課題が生じる可能性がありますが、その中でも最も敏感で当惑させる問題の 1 つは、認知症の人が自分のものではないものを持ち始めるときです。

この記事では、この行動の複雑さを探り、理解と思いやりのある解決策を提供し、この行動が引き起こす特有の課題に対処する方法について解説いたします。

動作を理解する

認知症は、人の認知機能と行動機能に重大な影響を与える可能性がある複雑な状態です。

自分の持ち物と他人の持ち物を区別する能力に関して、認知症はこの能力に重大な障害を引き起こす可能性があります。

これは、認知症に関連する認知機能の低下と記憶喪失、特に判断力、推論、認識に関連する領域によるものです。

ここでは、認知症が個人の所有物と他人の所有物を区別する能力にどのような影響を与えるのか、そしてなぜ彼らが自分の行動に気づかないのかを探っていきます。

記憶障害

認知症では、短期記憶と長期記憶の両方の低下が起こることがよくあります。

その結果、人は自分のものとそうでないものを思い出すのが困難になる可能性があります。

アイテムの所有権を忘れて、不用意に流用してしまう可能性があります。

たとえば、間違いに気付かずに、近所の人の園芸用具を自分のものだと思って拾ってしまうかもしれません。

混乱と見当識障害

認知症は、時間、場所、人々についての見当識障害や混乱を引き起こす可能性があります。

このような混乱状態では、個人は周囲の状況を認識できない可能性があり、物の所有権を判断する能力がさらに複雑になります。

たとえば、認知症の人は、自分の家だと思って隣の家に入り、それが正当に自分のものであると信じて食べ物を持ち出すことがあります。

抑制の喪失

認知症は抑制の喪失と衝動制御の低下を引き起こす可能性があります。

これは、認知症の人が結果や社会的規範を考慮せずに、自分の欲望に従って行動する可能性があることを意味します。

私有財産の概念を理解せず、花の視覚的な魅力だけを頼りに、近所の庭から花を摘むこともあります。

認識の欠如

おそらく最も困難な側面の 1 つは、認知症の人が自分の行動に気づいていない可能性があることです。

彼らは盗難という概念や、自分のものではないものを盗むという考えを理解していない可能性があります。

彼らの世界では、彼らの行動は完全に理にかなっています。自分たちの現実が他の人たちと共有する現実からますます乖離していくにつれて、彼らは自分が取った物が正当に自分のものであると本気で信じているのかもしれません。

たとえば、認知症の人である A さんが、近所の家の庭にある自転車を自分のものだと思って拾うという行動を想像してください。

彼女はもう自転車を所有していないことを覚えていないかもしれません。あるいは、自転車に乗るために借りていると心から信じているかもしれません。

人の持ち物を区別する能力と自分の行動に関する認識の欠如に対する認知症の影響は、私たちの現実認識を変える認知状態というレンズを通して見なければなりません。

このような状況に共感と理解を持って対処し、その人が意図的に盗みをしているのではなく、自分の状態によって課せられた課題と格闘していることを認識することが重要です。

適切な対応

認知症を患い、自分のものではないものを持ち出すなどの行動を示す愛する人に対処するときは、思いやりと理解を持って対応することが最も重要です。

認知症の人を叱ったり、その行動について質問したりすると、動揺や苦痛などの悪影響が生じる可能性があります。

ここでは、対立せずに返品することを中心に、優しく親身になって対応することの意義についてお話します。

叱ったり対立したりしないようにする

認知症の人をその行動に関して叱ったり、対立したりすると、悪影響を及ぼす可能性があります。

それは混乱、恐怖、不安の増大につながる可能性があります。

たとえば、A さんが近所の庭から花を摘んだことで叱られた場合、A さんはなぜ叱られているのか理解できず、動揺したり、不安になったり、取り乱したりする可能性があります。

この感情の混乱は、認知症によってすでに引き起こされている課題をさらに悪化させる可能性があります。

思いやりを持って商品を返品する

叱責したり質問したりするのではなく、優しく思いやりを持って状況に対処するのがより良いアプローチです。

たとえば、認知症の人が近所のガーデニング用品を間違えて持って行ってしまった場合、

「これは間違えて持って行ってしまったのかもしれない。近所の人に返してあげましょう。」

と優しく声をかけることができます。

気をそらして方向を変える

可能であれば、人の注意をそらし、方向を変えることが有効な戦略になる可能性があります。

たとえば、相手が近所の家から食べ物を持ってきた場合、立ち向かうのではなく、

「家においしいおやつがあると思います。それを楽しみましょう」

と言うことができます。

このアプローチにより、多くの場合、苦痛を引き起こすことなく、彼らの焦点を事件からそらすことができます。

将来のインシデントの防止

将来の同様の状況を回避するために、実際的な対策を検討してください。

その人の生活環境が安全であることを確認し、明確にラベルを付けて、自分の持ち物を認識できるようにするとよいでしょう。

徘徊したり、他人の家に入ったりした場合には、近所の人たちと状況を話し合い、協力して解決策を見つけることが有益な場合があります。

介護専門家に関係をもたせて引き入れる

より困難なケースでは、認知症ケアの経験を持つ医療専門家や介護者を巻き込むことで、貴重な指針を得ることができます。

彼らは、認知症患者とその家族の両方の行動を管理し、全体的な生活の質を向上させるための戦略を提供できます。

思いやりと理解のあるアプローチを採用することで、認知症の人が社会的に不適切または動揺する可能性のある行動を行っている場合でも、認知症の人に対する尊厳と敬意の感覚を維持することができます。

彼らの行動は彼らの状態に関連する認知の変化によって引き起こされており、忍耐と共感を持って対応することで、彼らの幸福と全体的な介護経験に大きな違いをもたらす可能性があることを覚えておくことが重要です。

隣人の関与

隣人との関係を築き、育むことは、認知症の愛する人を介護するとき、特に彼らの行動が近隣に影響を与える可能性がある場合に貴重なアプローチです。

近所の人たちと定期的にコミュニケーションをとることで、状況をより深く理解することができ、気まずさや不快な状況を防ぐことができます。近隣住民の関与が重要な理由と例を次に示します。

理解を育む

隣人があなたの愛する人の状態を知っていれば、理解して協力してくれる可能性が高くなります。

たとえば、A さんの近所の人が彼女の認知症について知っている場合、彼女が不用意に敷地内に入ったり、意図せず何かを持ち出したりしたときに、忍耐と共感を持って彼女に近づく可能性が高くなります。

誤解の防止

隣人とのオープンなコミュニケーションにより、誤解を防ぐことができます。

たとえば、A さんの家族が隣人と友好的な関係を築き、彼女の状態を説明した場合、隣人は彼女の行動を意図的な窃盗や不法侵入と解釈する可能性は低くなります。

むしろ、それが彼女の認知症の症状であると認識できるのです。

協力的な解決策

近隣住民が実際的な支援や協力的な解決策を提供することもできます。

たとえば、A さんの状態を知っていれば、彼女がうっかり持ち出した品物を、対立することなく喜んで返却するかもしれません。これにより、近隣地域内に協力的なネットワークが形成されます。

安全対策

隣人はあなたの愛する人の安全を確保するために特別な目と耳になることができます。状況について知らされていれば、あなたの愛する人が潜在的に危険な状況にあることに気づいた場合に、あなたや適切な当局に警告することができます。

気まずい状況を避ける

近所の人があなたの愛する人の状態について知らされると、彼らの行動に関連した出来事について不快に感じる可能性が低くなります。

このオープンなコミュニケーションは、厄介な対立を防ぎ、調和のとれた近所を維持するのに役立ちます。

地域教育

さらに、愛する人の状態について近所の人たちと話し合うことで、認知症について地域社会に教育することに貢献できます。

これは、同様の課題に直面している他の家族に対する認識と共感を高めることにつながる可能性があります。

近所の参加は認知症患者のケアにおいて貴重な要素です。

コミュニティ内でオープンなコミュニケーションを確立し、理解を促進することは、愛する人に利益をもたらすだけでなく、認知症関連の行動に伴う課題の一部を軽減できる支援的なネットワークを生み出すことにもなります。

それは、コミュニティと思いやりの感覚を促進しながら、愛する人の安全と幸福を確保するために全員が協力できる環境を作り出すことです。

結論

認知症関連の行動、特に認知症の愛する人が自分のものではないものを持ち出した場合、それに対処するには、思いやりと理解のあるアプローチが必要です。

この記事では、いくつかの重要な点を強調しました。

行動を理解する

認知症は、自分の持ち物と他人の持ち物を区別する能力に大きな影響を与える可能性があります。

認知症の人は、記憶障害、混乱、見当識障害、抑制力の欠如などにより、自分の行動や盗難の概念に気づいていない場合があります。

彼らの行動は、多くの場合、その状態によって課せられた認知的課題から生じています。

適切な対応

このような行動に対して共感を持って対応することが重要です。認知症の人を叱ったり質問したりすると、動揺や苦痛が生じることがあります。

代わりに、対立せずに品物を返し、優しく注意を向けることが、彼らの尊厳と幸福を維持するのに役立ちます。

近隣住民の関与

近隣住民とのオープンなコミュニケーションを確立することは非常に有益です。それは理解を促進し、誤解を防ぎ、協力的な解決策につながる可能性があります。

さらに、愛する人の安全を確保し、厄介な状況を回避し、認知症に関する地域教育を促進します。

窃盗などの認知症関連の行動に対処する際の最も重要なテーマは、共感と協力の重要性です。

認知症によってもたらされる認知の限界を理解し、忍耐と思いやりをもって対応することで、私たちは愛する人たちに可能な限り最善のケアを提供できると同時に、コミュニティ内で支援的なネットワークを構築することができます。

私たちは力を合わせて認知症の課題に対処し、認知症の影響を受ける人々の生活の質を向上させることができます。

まとめ

認知症の問題行動にでる利用者さんを対処する方法をお伝えしてきました。
いかがだったでしょうか?

利用者さんの満たされない思いや不安、恐怖など、行動の奥にある思いに気付き、心を癒やすような関わり方をすれば、穏やかに過ごしていただくことができます。

利用者さんの心の内を早く気付くことができたら、熟練介護士として素晴らしさことだと思います。まず、笑顔で接することを心がけてください。

不安や混乱のさなかにある利用者さんにとって、厳しい言葉や態度を向けられることは、恐怖以外の何ものでもありません。

追い詰められて、困った行動がエスカレートしてしまうことも考えられます。
反対に、にっこりと笑って穏やかに話しかけると、笑顔を返してくれることが多いです。

こちらの気分や雰囲気は伝わりますから、ゆったり構えて、そっと様子を見守るのもひとつの方法です。向き合う姿勢を変えることで、機嫌が良くなる場合もあります。

利用者さんをお世話するスタッフには本当に大変だと思いますが、なるべくおおらかな気持ちで、安心感を与える言葉や笑顔を心がけてみてください。

熟練介護士だからこそ、いろんな介護経験を積んでいかなくてはなりません。
1つの施設でずっと何年も仕事をしているとモチベーションが下がりますし、成長もできません。

いろいろ経験を積むために、派遣社員で働くのはいかがですか?
「かいご畑」では介護派遣の求人や応援制度を紹介している記事があるので、興味がある方はこちらをご覧ください。


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